9月も半ば過ぎました。
昼間はまだ暑い日が続いていますが、朝夕はそれなりに涼しさも感じます。
さて夏の終わりから秋口のこの時期は、症状が増悪するアレルギー性鼻炎や気管支喘息の患者さんたちが多くいらっしゃいます。今回はその考えられる理由をご紹介します。
1)アレルギーを起こす物質(抗原・アレルゲン)の数が増えるため
『ダニ』は暑い夏にその数を増やして、気温の低下とともにその多くが死にます。その死骸は、『ハウスダスト』となり秋に増加します。数が増えれば、当然これらを抗原とする通年性アレルギーの患者さんたちは、発症する機会が増えて症状も増悪します。
もちろん、『ブタクサ』などによる秋の花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)もありますが、通年性の患者さんたちの症状の増悪が、やはり目立ちます。
2)『風邪』をひく機会が増え、それに合併した『細菌』による炎症を発症するため
程度はさまざまですが、『風邪』の原因は全て『風邪ウイルス』と呼ばれるウイルスです。アレルギー性鼻炎や気管支喘息の患者さんの粘膜にこれが侵入すると、炎症の状態が一時的に増悪すると言われています。ただし『はなカゼ』や『のどカゼ』の程度であれば、当然、症状は軽く済みます。
しかし、傷んだ粘膜に『細菌』(バイキン)による炎症が合併した場合は、症状は悪化します。一般に『風邪』の患者さんの8割に、この細菌感染炎症が合併すると言われています。『風邪』だけならば体内で『抗体』というものを作って、『風邪ウイルス』を駆除すれば収まります。また、アレルギーの炎症だけならばアレルギーを抑える薬を用いれば、症状は落ち着くはずです。そうでなければ、他の要因が加わっていると考えるべきです。
私は、「3日で治らない『風邪』は『風邪』ではない」と考えます。
3) 物理的刺激(特に温度差)の増加
本来、『くしゃみ』『鼻水』『鼻づまり』や『咳』や『痰』などの症状は、人体にとって有害なものや不利益なものの身体への侵入を防ぐための『防御機能』が、正常に作用した結果とみるべきものです。ただし、その作用があまりに強かったり長く続いたりすると、症状として認識され忌み嫌われます。
アレルギー炎症のある粘膜においては、抗原に対する『防御機能』が強いことは当然ですが、他の刺激(粉じん、気温差、臭い刺激など)に対しても過敏になっています。特にこの時期は、『日々の気温差』『昼夜の温度差』『エアコンによる温度差』などが増悪因子になることが多いです。温度差から体調を崩して『風邪』をひくこともよくあることです。みなさん、温度管理はしっかりしましょう。